キミに伝えたい言葉がある
「何?ため息ついて」
いつも一緒にいる大倉 絢が眉間に皺を寄せて俺を睨むつけてきた。
最初からそうだったが、きっと大倉は俺の事を嫌っているんだろうなとは思った。
そんな相手に対して俺自身も良い態度がとれる訳もなく、彼女の方を見ないまま小さく呟く。
「別に」
「なに、その態度」
「これが、俺の普通の態度だから」
そう、俺は元々コミュニケーションが苦手なんだ。
莉桜菜と全は割と大丈夫になっている方だけど、他の生徒とは関わることは苦手だ。
多少は軟化してきていても、根本的なところが治るには時間がかかる。
でも、こういう態度は相手の神経を逆なでてしまうということも知っていた。
「嫌な奴。莉桜菜にはいい顔してさ。見え見えなんだよ」
ほら、怒りを含んだ声が飛んでくる。
別に俺は、莉桜菜にいい顔なんかしていない。
心の中で反論した。
黙っている俺に、大倉はさらに言いつのる。
「莉桜菜が好きなのは分かるけどさー莉桜菜のこと分かってんのあたしだから」
その言葉に俺は、カチンときた。
莉桜菜のことを分かっている?
おいおい、嘘だろ?だって、莉桜菜の今の体調を分かってやっていないじゃないか。
そう叫びたくなったが、障害物競走のアナウンスが流れたので、俺は立ち上がった。