キミに伝えたい言葉がある


「な、なによ」


大倉が少し威勢の欠けた声で言ってきたが、ギロリと睨むつけてから俺はテントから出た。
そして、障害物競走がよく見える退場門近くに移動する。


俺が移動した時には、障害物競走は始まっていて、莉桜菜の出番はまだのようだった。
莉桜菜の姿を探してみる。


「・・・いた」


莉桜菜は、選手の列の中にいた。
そして、他の選手たちの様子を見ているが、やはりその顔は元気がなかった。
俺は、何でか自分でもよく分からないまま、すぐに動けるように彼女の様子を注意深く見ていた。
もし倒れたときは、教師にすぐにいって保健室行って・・・とか、頭の中で考えている。


莉桜菜の番が来た。
ピストルの音と共に莉桜菜が走り出した。
トラックの半周を走ったところで、紙が置いてあり1人ひとり拾って中身を確認する。
何が書いてあるかは分からないが、その前の選手たちは、教師を連れてきたり、何かしらテーマに合う人を連れてきてゴールしていた。
莉桜菜は、紙を取ると開いて中身を確認した後、何かを探すように周りを見渡す。
一体何が書かれていたんだろうか。
莉桜菜は、ぐるりと視線を巡らせて、一カ所で止まると走り出した。


俺の方に。


< 123 / 249 >

この作品をシェア

pagetop