キミに伝えたい言葉がある
転校生が何を考えているのか分からなくて首を傾ける。
「偉いでしょ」
「・・・当たり前のことだろう?」
「そうだね」
ハハッと転校生が笑って今度こそ俺の前からさっきの集団のほうに移動していった。
何だったんだろう?
よく分からなかったけれど、俺は英語のことを思い出して慌ててまた小テスト対策を再開したのだった。
授業が始まる前にあれだけ頑張った成果も出て、小テストは無事全て解くことが出来て安心した。
その後の授業も普通に受けて、一日平和に過ぎていったように思う。
最後の6限目、終わる直前に教師に名指しで仕事を頼まれた。
「吉田と塩田、悪いけどこのノート職員室まで持ってきてくれ」
「はーい」
「・・・」
隣で転校生が元気よく返事をしたけど、俺は心の中でまじかよ、と悪態をついた。
ノートといってもクラス人数分しかない。
自分で持って行けよ、と思ってしまった。
そんなこと教師に面と向かって言えるわけないから、結局言われたことをするしかない。
6限目が終わってからすぐHRになってしまうので、それが終わってからノートをもって行くことにする。
HRが終わって、部活にいくクラスメイトや帰るクラスメイトでザワザワとしている中、俺は教壇のところに置いてあるノートの束を抱えた。
「あ、ちょっと待って!!」
澄んだ転校生の声が聞こえて、俺の抱えていたノートの束が半分もって行かれた。