キミに伝えたい言葉がある
「これは、見れるだろ」
「そうかな?」
「当たり前だ・・・でも、これは俺が預かっとくから」
「え?」
「これないと、色々準備出来ないからな」
綺麗に四つ折りにして俺は自分の服のポケットの中に入れた。
でも、なくしてしまったら、と思い直して、一階取り出してもう一回曲げてから自分の長財布の中に入れ直した。
「ふふ、ありがと」
「なにが?」
「色々と」
莉桜菜は、嬉しそうだ。
その笑みが見れただけで俺は満足だった。
「じゃあ、今日は、これで」
「もう?」
時計を見れば、もう17時を過ぎたところだった。
さすがにもう帰らなければ、面会時間も迫ってきている。
「また、明日来る」
「うー・・・分かった。また、明日ね」
「あぁ、また」
”また、明日”
この言葉がいつまでも続くことを願う。
俺は、莉桜菜の病室をでると、そのままナースステーションに向かった。
中を覗き込んでみると、看護師さんが何人か仕事をしていた。
どう話し掛けるか悩んでいると、1人の看護師さんが俺に気づいてくれた。
「どうかしましたか?」
優しそうなその看護師さんに、俺は意を決して口を開いた。
「あの、相談があって・・・」
「はい?」
「そこに入院している、塩田 莉桜菜の事なんですけど・・・」
「莉桜菜ちゃん?何かあった?」
どうやら、この看護師さんは莉桜菜の担当している看護師さんだったようだ。