キミに伝えたい言葉がある
「まあ!」
「やるわね!」
声を上げる親たちを他所に俺は、莉桜菜が叶えたいと言っていたお姫様だっこをしてやった。
シャッター音が聞こえたけど、今はとりあえずいい。
「う、うそ・・・」
「?叶えたいことリストに入っていたよな?」
「入ってたけど・・・っ」
「?」
抱きかかえることで距離が縮まったので、莉桜菜の表情はよく見える。
顔が真っ赤に染まっているのは気のせいではない。
自分で言ったくせに照れているみたいだ。
「も・・・降ろして」
「もういいのか?」
「う、うん・・・」
か細い声で言われ、ゆっくりと莉桜菜を降ろせば、莉桜菜は俺に背中を向けてしまった。
「え、莉桜菜?」
「ちょっとびっくりした・・・」
莉桜菜が今どんな顔をしているのか気になって回り込んでみれば、さっきよりももっとゆでだこのように赤くなっていた。
「真っ赤っか」
「真司君のせいだよっ」
「そうか?」
「そうなの!」
文句を言いながら、でも怒っている様子ではなかった。
新しい莉桜菜の一面が見られて、俺は満足だった。
叶えたいことリストの10の内、2つ叶えることが出来た。