キミに伝えたい言葉がある
「いってらっしゃい」
「もう!真司君も行くの!」
ここでさよならが出来るかと思っていたけれど、転校生は頬を膨らませて、俺の手を取ると引っ張るようにコンビニに連れて行かれた。
いらっしゃいませ、と店員の声がレジの方から聞こえてきた。
「アイス、アイス~♪」
転校生は、スキップをして上機嫌でアイスコーナーに向かっていった。
何でこんな目に、と思いながらも俺の足は転校生の後をついて行っていた。
「どーれにしようかなっ」
アイスコーナーで吟味している転校生の隣で、俺は特に何かを探すわけでなくぼんやりと店内を眺めていた。
「バニラにしようかなーイチゴも捨てがたい・・・・よし!」
どうやら何を買うか決めたようだ。
転校生を見ると、バニラ味にしたようだ。
満面の笑みで俺を見上げると、選んだアイスを俺に差し出してきた。
「真司君は、何買う?」
「俺はいらない」
「なんで?お金ない?私出すよ?」
「お金はあるけど」
「じゃあ、何味にする?私と一緒でも良いよ?」
「・・・」
どうあっても転校生は俺にアイスを買わせたいらしい。
俺は、ため息を一つついて、手を伸ばして適当に一つアイスを選んだ。
安い、棒アイス。
チョコ味で、割と気に入っているアイスだ。
「これにする」
「うん!」
俺がアイスを選んだことが嬉しかったようで、さらに笑みが深くなる。