キミに伝えたい言葉がある




莉桜菜がいなくなった毎日は、なんだか現実じゃないみたいだった。
莉桜菜がいなくても時間は過ぎていく。日は昇ってそして沈む。
新しい日がやってくる。


年を超えて、新年がやってきた。
莉桜菜の葬式は、年が明けてから行われた。
家族、学校の友人たち、たくさんの人が参列し、皆莉桜菜の死を悼んだ。
俺は、葬式には行ったが、遠くから見るだけで終わってしまった。
線香を上げられなかった。
認めたくない、あそこにいるのは莉桜菜ではない。
最後を看取ったのに、俺は、信じられなかったのだ。


莉桜菜がいなくなってから、俺はどうやって過ごしていたのか忘れてしまった。
三学期が始まって学校に行く。
通学路では、莉桜菜との待ち合わせ場所で来ないことが分かっているのに立ち止まり莉桜菜が来るのを待っている自分がいた。
学校では、話せるようになったクラスメイトと話せなくなってしまっていた。
どうやってコミュニケーションを取っていたのだろう。
莉桜菜が転校してくる前の自分に戻ってしまっていた。
クラスメイトも気を遣ってなのか必要以上に話し掛けては来なかった。
正直、今の自分にはとてもありがたかった。


そんな日がひと月くらい続いた時、俺は莉桜菜のお母さんに呼ばれた。
まだ、そんな勇気がなくて、断ったが、どうしても渡したい物があるからと言われ俺は莉桜菜の家に行くことにした。


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