キミに伝えたい言葉がある
「っ・・・」
俺は、莉桜菜の手紙を読んで、額にそれを押しつけた。
涙が止まらない。
こんな手紙、反則だ。
莉桜菜がいてくれて俺の方こそ救われたのに。
俺だってずっと莉桜菜と一緒にいたかった。
好きだ。好き。
たったそれだけを俺はちゃんと莉桜菜に言えなかった。
「馬鹿だな・・・」
莉桜菜に取って俺の存在はそんなに大きかったんだな。
それだけで、俺は十分だ。
顔をずらして畳の部屋を見れば、笑顔の莉桜菜がこっちを見ていた。
莉桜菜の笑顔は、本当に綺麗だった。
そして、とても可愛かった。
やっとまともに見れた気がする。
葬式の時もさっきも俺は逃げたから。
もう、莉桜菜はいない。
温もりも、笑顔も、声も・・・全部ない。
受け入れなければいけない。
「真司君・・・」
「線香、あげていいですか」
涙声で、お母さんに聞くと、頷いて先に仏壇のところにいってろうそくに火をつけてくれた。
俺は、手紙を綺麗に元に戻してから、仏壇の前に行く。
正座をして、顔を上げれば、莉桜菜の写真が間近にあった。
遺影の傍らには、写真立てに入った俺と莉桜菜の写真と、プレゼントしたネックレスが飾られていた。
「・・・」
線香を取って、火をつける。
煙が立ち上ったのを確認してから、差すところに差した。
手を合わせ、目を閉じる。