キミに伝えたい言葉がある
学校に着いたら、俺と違って転校生を待っている他のクラスメイトがたくさんいる。
教室に入ったらそれぞれの世界・・・と思っていた俺だったが、どうやら転校生は違ったみたいだ。
「おはよー莉桜菜」
「おはよー絢ちゃん」
「ね、ちょっと」
転校生は、友だちに呼ばれてそっちに向かう。
俺は自分の席について一息ついた。
すると、なぜかクラスの男が数人俺のところに来た。
「なぁ、吉田」
「何?」
「お前、塩田とつきあっているのか?」
「・・・は?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
目を丸くしてクラスメイトたちを見上げると、彼らは首を傾けた。
「だってよ、毎日一緒に帰っているし、今日も一緒に来たんだろう?てっきりつきあっているんかとおもったんだけど」
「まさか」
「え?まじか?」
「転校生とは、家が割と近くだから一緒に帰っているように見えているだけだ」
「そうなのか?」
「あぁ」
驚いた。
俺と転校生がつきあっているなんてことが噂になっていたのか。
一緒に帰っていたらそうなってしまうのか。
でも、一つ言いたい。
俺と転校生はまるで真逆だ。
いつも友だちに囲まれている転校生と、人とあまり関わりを持たない俺。
どこをどうとったらつきあうなんて発想になったのだろうか。
「なーんだ、てっきり付き合っているのかと思った」
「吉田、本当に付き合っていないのか?」
「そうだよ」
しっかりと頷くと、彼らは安心して去って行った。