キミに伝えたい言葉がある


「いや・・・付き合っていない」
「莉桜菜も言ってたけど、本当?」
「本当だ」


そう言うと、友人は安心したように表情を和らげた。
しかし、それは一瞬ですぐにキツい目をして俺を睨んできた。


「本当なら、良かった。いい?莉桜菜はあんたよりかっこいい人がお似合いなの。これ以上近づかないでくれる?」
「・・・・は?」
「あんたと莉桜菜は不釣り合いなの」


俺は、頭の中でこの友人の言葉を整理してみた。
まるで、俺が転校生に一方的に付きまとっているように聞こえるのは果たして俺だけだろうか?
近づかないで?
いや、俺からは転校生に一回だって近づいていない。
全部あっちからだ。
だのに、俺が悪いみたいに言われないといけないのか?
そう思い至ると無性に腹が立ってきた。


「ーーーーーだったら、あんたの友だちにも言っとけよ」
「な、なによ」


急に俺の声が変わったからか友人は少し怖じ気づく。
でも、そんなこと知ったこっちゃない。


「俺に、金輪際近づくなって言っとけ」
「は?」
「うざいんだよ。お前も--あいつも」


俺は言い捨ててさっさと友人から離れて自分の教室へと戻ってきた。
あーイライラする。
乱暴に椅子を引いて座る。
ガタンッと大きな音が出てしまったが今の俺は気にすることはなかった。
目の前にはまだ開けていない弁当箱があったが、イライラした今の状態で弁当を食べる気なんて起きなかった。


< 34 / 249 >

この作品をシェア

pagetop