キミに伝えたい言葉がある
「・・・で、彼女と何かあったのか?」
「・・・は?」
いきなり光平は何を言い出すかと思えば、首を傾けると、親指を立てて横を指さした。
その指先をたどり、俺は目を見開いた。
ここにいるはずのない、転校生がそこに立っていた。
視線を泳がせながらチラチラと俺の方を見ている。
「喧嘩したなら早く仲直りした方が良いぞ」
ギターを片付けた光平は、ニヤニヤしながら立ち上がった。
「は?光平帰るのか?」
「満足したからな。それに、俺はいないほうがいいだろう?」
「いや、待ってくれよ。俺は・・・」
手を伸ばして光平を引き留めようとしたが、光平はひらりと交わして帰って行ってしまった。
残された俺の手は行き場をなくして力なく下がった。
はぁ、と小さくため息をついてから俺は、とりあえずギターをケースに片付けた。
黙々と片付けていると、俺の傍らに人の気配がやってきた。
「・・・あの、真司君」
転校生の声。
俺は、顔を上げないで答えた。
「何か、用事?」
「あの、どうして今日1人で帰ったの?」
俺は、顔を上げて転校生を見た。
彼女は、戸惑いと少し悲しげな表情をしていた。