キミに伝えたい言葉がある
「・・・分かったよ」
俺は、仕方なくIDの方を教えることにした。
転校生は、嬉しそうにIDを入力したあとはまた友人の輪の中に戻っていった。
やれやれと思っていると、ポケットの中に入れていたスマホが震えた。
誰からか、確認してみると、転校生からスタンプが送られてきていた。
女の子らしいかわいいスタンプだ。
それに何かを返すわけもなく、俺はポケットにスマホをしまいなおすとちょうどチャイムが鳴り響いた。
みんな自分の席に戻り、授業が始まる。
今日も、一日の学生生活が始まった。
勉強に追われるだけの平和な一日で終わってくれれば良かったのに、そうは問屋が卸してはくれなかった。
昼休み、俺は貴重な昼食の時間を男子に呼び出されていた。
「聞きたいことあるんだけど」
今、俺がいる場所は屋上だ。
俺はフェンス側で、目の前にはクラスの男子が3人。
確か、バスケ部で女子がかっこいいっていつも騒いでいる奴らだったと記憶している。
名前は・・・正直よく分からなかった。
あまり名前を覚えるのは得意な方ではなかった。
特別仲が良いわけでも同じクラスなのに話をしたこともなかったからだ。
「なに?」
聞きたいこと。
何を聞きたいかは薄々分かってはいたが、聞き返してみた。