キミに伝えたい言葉がある
「あれ?鷹後君?どうしたの?」
あぁ、この男は鷹後と言うのか。
転校生から聞くことになるなんて俺の方がこの学校にいる期間は長いのにな。
鷹後は、転校生の側に来ると俺なんか眼中に入っていないようだ。
彼女だけを見ている。
「あのさ、今日俺部活ないんだ」
「そうなんだ?」
「だからさ、一緒に帰らないか?」
これは、デートの誘いとでも言うのだろうか。
さすがだ、俺にはこんなことを言う度胸なんてイチミリもない。
さて、転校生はなんて言うのだろう。
俺に言われたわけじゃないのに、妙にドキドキしてきた。
ジッと2人のやりとりを眺めていると、転校生はニコッと笑った。
鷹後もつられて笑みを浮かべる。
きっと彼は受け入れてもらえたと思っているに違いない。
「ごめんね。今日は真司君と帰ることにしているの」
「・・・え」
鷹後の顔から笑みが消えた。
驚愕、まさか断られるとは思っていなかったのだろう。
「だから、ごめんね」
「え・・・約束、でもしていたのか?」
鷹後は、そう言いながら俺の方を見た。
その目にはどういうことだ、と憎悪が垣間見えた。
「約束?そんなのしていないよ?」
「じゃあ、なんで」
鷹後は、訳が分からないといった体だ。