キミに伝えたい言葉がある
鷹後の気持ちは分かる。
約束していないのに一緒に帰る?
俺が最初の時に訳が分からなかったのと一緒だろう。
「私が真司君と帰るって決めているから」
そう、彼女は自分の法律で動いているのだ。
相手のことなんかお構いなしなのである。
「・・・そう、なんだ」
「うん」
「じゃあ、明日は?」
「明日は、部活があるんじゃない?」
「なかったらーー」
「んーーきっと無理だと思うよー」
あぁ、転校生の中にこの男が入る隙間は全くないんだろうな。
鷹後も薄々気づいているようだ。
だんだんと声には力がなくなってきている。
「もう、いいかな?」
「あぁ、わ、悪かったな呼び止めて」
「んーん、大丈夫」
じゃあね、と転校生は言った瞬間彼に対しての興味は全くなくなっていた。
それが伝わったのだろう、鷹後は、グッと唇を噛みしめると俺の方を睨んできた。
俺を標的にするなんて逆恨みも良いところではないか。
自分に自信がある奴がへし折られるとこうなるんだな。
俺は呆れてしまった。
「ね、真司君さっきの話なんだけど」
転校生は、もう鷹後の存在を宇宙の彼方に吹き飛ばしてしまっているみたいだ。
さっき言いかけた話に戻っている。
「あぁ、何?」
俺も特に鷹後に用事もないし、フォローとか出来るわけもないので転校生の話に耳を傾ける。
2人、並んで家路に向かって歩き出した。