キミに伝えたい言葉がある
陽は、まだ明るい。
9月はもう少し先だから、まだまだ夜が遅くなる日々が続くだろう。
それと共に、まだまだ暑さも続きそうだ。
年々気温も上がり、まるでサウナにいるみたいに外は暑い。
夕方だから幾分か暑さは和らいではいるが、それでもじんわりと歩くだけで汗が額に浮かぶ。
河原についたら、まだ光平も転校生も来ていなかった。
俺はいつもの場所に陣取ってギターを取り出した。
音がずれていないか軽く弾いて確認する。
少し違ったらチューニングして合わせる。
「真司君!」
ギターに目を向けていると、名前を呼ばれた。
俺を名前で呼ぶ女は転校生しかいないので、顔を上げるまでもなかったが、俺はギターから顔を上げて声の主を確認する。
「やっほ」
「あぁ」
「真司君、来るの早いね」
「そうでもない」
「今日はお友だちは?」
「今から来ると思う」
転校生は、俺の隣に腰掛けた。
俺は、ちらりと転校生が座る様子を見てから、またギターに目を戻した。
「ね、今日は何を弾くの?」
「光平が来てから決める」
「ふーん、光平君って真司君の友だちだよね?」
「まあな」
「長いの?」
「長いかな」
ギターと転校生と交互に相手をする。
いつもだったらもう来ているはずなのに、今日は光平遅いな。
そう思っていると、スマホが震えてメッセージが来ていることを知らせてくれる。