キミに伝えたい言葉がある
転校生は、俺の1歩前を歩き始める。
軽い足取りで、手を後ろに組みながら周りを見ている。
「散歩って久し振りだなぁ」
「・・・俺も」
「一緒だね」
肩越しに転校生が振り返る。
やっぱり、転校生は笑顔だ。
俺は、いつも転校生が笑顔なのが不思議で仕方がなかった。
嫌なこと、とかないのだろうか。
「真司君?」
「え?」
「なにか考え事?」
転校生が、ジッと俺を見てくる。
俺は、首を振ったが、転校生は信じてくれなかった。
「嘘、何考えていたの?私に教えてご覧なさい」
「何、それ」
「いいから、悩み事?」
「別にたいしたことじゃない」
転校生の事を考えて立っていったら、キミはどんな反応をするんだろう。
顔を赤くするだろうか・・・否、俺の顔が真っ赤になるだけだ。
なんとか話をそれしてしまいたかったが、如何せん、俺はそんな話術も残念ながら備わっていなかった。
「たいしたことないなら話してもいいでしょ」
「う・・・」
「ほらっ」
目を泳がせて違う話題を探すが見つからない。
あぁ、もうこんな時に光平がいてくれたら良かったのに。
俺は、観念した。
きっと転校生も俺が言わなきゃ引かないだろう。
「悩んでいた訳じゃない」
「じゃあ、何?」
「転校生は、いつも笑顔だなっておもっただけ」
「!!」
転校生は目を見開いた。