キミに伝えたい言葉がある



少し気を張りながら正門を潜る。
外に出てしまえば後は家までまっすぐ一本道だ。
肩の力を抜いて俺は家に向かって歩き出す。
少し歩けば、割と広い公園がある。
遊具もそれなりにあって子どもが遊ぶにはうってつけの場所だ。
横を過ぎる時は、小学生がちらほら遊んでいる姿が横目に見えた。
公園の奥、そこには一本の大きな桜の木があった。
6月だから、まだ緑の葉っぱに覆われている。
3月になったら綺麗なピンク色の花を咲かせる。
まだまだ先の話だが。


公園を過ぎて、十字路の交差点の横断歩道をまっすぐ渡り、ひたすら歩くこと30分。
ようやく俺は自分の家に帰ってきた。


「ただいま」


俺の母は、専業主婦だからいつも家にいる。
共働きが多い今の時代に珍しい家庭だ。


「お帰り、真司」
「だだいま、母さん」


リビングでは、夜ご飯の下ごしらえをしている母さんの姿があった。
俺は、二階の自分の部屋に上がり、荷物を勉強机の傍らに置いた。
着ていた制服を脱いでそこらへんに投げ捨て、ベットにダイブした。


「あぁ・・・疲れた」


今日は、なんだかいつも以上に疲れてしまった。
きっと原因は転校生にあるんだろう。
あんなに学校で人と長時間接したのは久し振りだったから気疲れしてしまったのだろう。
明日は、きっとこんなこともなくいつもの時間を過ごすことが出来ると思う。


ブーブー・・・
ベットにごろごろしていると、滅多に鳴らない携帯が震えた。
手にとって見てみると、数少ない友人からの誘いの知らせだ。
少し考えてから、俺は友人に了解と返信する。


< 6 / 249 >

この作品をシェア

pagetop