キミに伝えたい言葉がある



「決まり~」
「良かったな」
「おお!あ、そうだ、これからは俺のこと、全って呼んでくれよ?」
「え?」
「俺も、真司って呼ぶからさ!」
「あ、あぁ・・・」


急な展開でついていけてなかった。
牛島・・・全は、委員長が終わりというまで、他愛のない話をしてきた。
普通に誕生日は何時なのか、とか血液型とか、4月の初めましての時に聞くようなことからだった。
一つひとつに答えて、俺も聞き返す。
全は、いやがることなく答えてくれて、光平以外の男とまともに話をしたのは久し振りのことだった。
時間はあっという間に過ぎていって、運動会の種目も決め終わり、チャイムも鳴って一時間が終わるのがとても早く感じた。
まだ、話していたかったなと残念に思った。


「次何の授業だった?」
「歴史」
「あー俺、苦手だわあ」
「俺、わりと好き」
「すげぇな・・・と、お、彼女が来たぞ?」


全は、にやりと笑うと俺を小突いてきた。


「彼女?」
「しらばっくれんなよ。塩田、ほら」
「あ?あぁ、莉桜菜は別に・・・」


彼女では、ないと言おうとした俺だったが、背中にずっしりと何かが乗ってきてうぐっとなった。


「真司くーん」
「・・・莉桜菜、重い」
「酷い!ね、真司君100M走るんでしょー?すごーい」


莉桜菜は、俺を椅子か何かにしているのか全体重を俺に乗せていた。
俺は、目の前でニヤニヤと笑っている全を半目で見た。


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