今日も彼奴は妖艶な笑みで微笑む
残念ストーカーは辛辣少女に付きまとう
「み〜や〜!!!!今日も今日とて美しいね!」
「今日も今日とて暑苦しい」
私の名前は文綾深矢、や、が二つ入ってて変だとは言わないで欲しい、私が一番そう思っているのだから。
そして、サラサラの黒髪に、墨のような真黒の目が白い肌によく映える、私に抱きついて来たイケメンは、綾辻深斗。
自称私の(未来の)旦那。とほざいている残念ストーカー野郎だ。
「あれ?深矢シャンプー変えた?」
「平気で人の頭の匂い嗅ぐのやめろ」
他人に頭の匂い嗅がれるとか嫌だ。
「クールな所も可愛いね!」
「勘違いも甚だしい」
きっと此奴の頭の中には私しかいないのだろう。
「あぁ、世界が深矢と俺だけだったらいいのに……」
項垂れる深斗の首には十字架のペンダントがかかっている。
意外にも深斗は神信仰者(クリスチャン)なのだ。
「神様に祈って何が楽しいのか…」
「ん〜、深矢と毎日会えるのは神様のお陰、というか、深矢と出逢えたこと自体、神様の導きだからね」
成程、つまり深斗は感謝の意味で信仰者なのだろう。
案外筋の通ってる奴なのかもしれないが、私は見た目には騙されんからな。
「深矢〜、明日からでもいいから同棲しよ〜!!!!」
「嫌だし、そんな間柄でも無いでしょ」
「ではここでクイズ!俺と深矢が同棲したらどんな良いことがあるでしょう!!」
でた、何故かたまに出てくる意味不なクイズ。
真剣に相手してやるほどのものでは無い。
「知らない」
「では正解は〜??!
俺のやる気が上がる!」
「私にとってクソどうでもいい事だよ」
深斗のやる気なんて、私と全く関係ない。
ハッキリ言うと、私は深斗のことは友人だと思っている。
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