君影草は誠を乞う

「私は椿木 伊織っていいます。
放火で家が燃えてしまって、
奉公先を探しているのですが
何かご存知ないですか?」

とりあえず情報収集をするため、
彼女に問いかける。
しかし、
素性の知れない者を雇ってくれる所など
あるのだろうか?
そう思っていた矢先

「あらら!!
それは、とんだ災難だったね。
…そうだ!
伊織ちゃん、うちの甘味屋で働かないかい?」

「……えっ。
…いいんですか?」

「ああ!
最近お客さんの入りがいいから、
誰か雇おうかと旦那と話していた
ところだったんだよ。
うちなら住み込みでも大丈夫だし
…どうだい?」

お菊さんは優しく私に問いかけた。

「…はい。是非お願いします!!
ありがとうございます!!」

「よし、
そうと決まれば、厳しく行くからね〜。
…これからよろしく。」

お菊さんは冗談めいた口調で言うと、
明るく笑顔で私に微笑んでくれた。
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