君影草は誠を乞う

「ええっと椿木くん?」

お菊さんの旦那さんは戸惑いながら
私を苗字で呼ぶ。

「伊織で構いません。」

「じゃあ、伊織くん。
私は菊の旦那で佐介っていいます。
これからよろしくお願いしますね。」

佐介さんは温かい笑みを浮かべながら
私の頭を撫でた。

「ほら、市あんたも挨拶しなさいな。」

お菊さんはそういうと、
自分の後ろにいるお市ちゃんをぐいっと
引き寄せた。

「あっ、ちょっとお母さん…!」

お市ちゃんは始めは抵抗するが、
前へと引っ張っり出されたため、抵抗をやめた。
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