君影草は誠を乞う

「そんなことない!
…最初は少しだけ戸惑ったけど、
伊織くんが来てくれてから仕事も楽になったし、
客足も伸びたし、
…一緒にいれてすごく嬉しいし…
伊織くんが来てくれて本当に感謝しているよ!!」

「そう言ってもらえると、本当に嬉しいな。
…ありがとう。」

そう笑顔で私が言うと、
お市ちゃんの顔が
ポンっと言う音が聞こえてきそうなくらい
一気に赤くなった。

「お…お母さんがあっちで呼んでたよッ…。」

お市ちゃんはそう叫ぶように言うと、
両手で顔を隠し、
早足で目の前からいなくなってしまった。
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