君影草は誠を乞う
「お菊さん、どうかしましたか?」
お市ちゃんが言っとうりに私は
お菊さんの方へ行くと、
少し戸惑った様子のお菊さんに声をかける。
「あぁ、ちょうどよかった。
伊織ちゃん、
ちょっとヨモギがきれそうななんだ、
買ってきてくれないかい?
この時間になると
お客さんがたくさん来てくれるもんだから
手が離せないだ。」
「はい、もちろん。」
「よかった、
じゃあよろしくね。」
お菊さんはそういうと、
カゴと銭を手渡すと
奥の調理場へと向かっていった。