君影草は誠を乞う
「そうなのか。
おじさん教えてくれてありがとうございます。」
「あいよ!
また買いに来てくれな。」
おじさんと話している間に
先程まであった人だかりは消え、
人々が見ていた光景が目に入る。
「……こりゃ、ひどい。」
思わずそんな言葉が飛び出る。
目の前に映る光景は、
それはそれはひどいものだった。
のれんは破れ、
机や椅子の脚は折れ
使い物にならなくなっている。
また、地面には器だったであろう破片が
原型がわからないほどバリバリに割れ、
店主は、頰に大きな青アザを作って
壁にもたれ座り込んでいる。
「こんな事が
日常的に起こっているなんて……。」