君影草は誠を乞う
しばらく歩くと、
近くの河川についた。
総司と呼ばれた男は、
その側にある枝垂れ桜の木の下に行くと、
枯れ葉さえ落ちてしまった
冷たい木の幹にそっと触れた。
すると、少し先の桜の木の下から、
声が聞こえてくる。
目を向けるとそこには複数の人影が見えた。
すぐさま、総司と呼ばれた男は、
もう一人の一と呼ばれた男の方へと目を向ける。
その視線に気がついた男は黙ってうなずくと、
そっと手を腰の刀に掛けた。
二人は気配を絶ち、
人影の方へと近づくと、
人影が鮮明に見えていく。