君影草は誠を乞う
「もうすぐだ……ツ?!」
望んでいた筈の帰るべき場所が目に入った瞬間
よく知った匂いに気づく。
(血の匂いーーーツ)
その匂いに気づくと
私は弾かれるように走り出す。
(嫌な予感がするツ……)
ガラッ
「お菊さツ!!」
丸菊の戸を勢いよく開けると…
むせ返るほどの血の匂いが嗅覚を支配する。
辺りを見渡すと二つの影を見つける。
「ツ!!!」
暗闇に慣れた私にはその影の人物を
判断するのにさほど時間はかからなかった…
一つは
返り血一つも浴びずに彼女の首を掴む
碧眼の男であることに。
そして…
もう一つは
至る所から血を流したお市ちゃんである事。