君影草は誠を乞う

男を目に移した瞬間
私は
いつの間にか男に斬りかかっていた。


男はお市ちゃんを無造作に放すと
私の一撃を後ろに跳び避ける。

男の手から離れ
その場に崩れるように倒れたお市ちゃんに
私は触れた。


触れた彼女の肌は熱を失い
氷の様に冷たい。


その時すでに……

…彼女の心臓は完全に鼓動を止めていたのだ。



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