君影草は誠を乞う
「…ったく、
土方さんは人使いが荒いんだよ…」
土方に使いぱしりにされた総司は
ぶつぶつと独り言を呟きながら
伊織の後を追っていた。
一度尾行して気づかれた経験のある総司は
前回の倍近くの距離を取りながら
絶対に気づかれまいと細心の注意を払っていた。
(ん?あそこは…)
暫くして伊織が家に入っていくのが見えた。
彼が入っていった家は
少し名の知れた甘味処だった。
総司自身はまだ行ったことはなかったが、
時間が作れれば行ってみようと思っていた店だ。
とりあえず家に辿り着いたことは確認できたから任務は完了だな。
(少し何か焦っていた気もしたが…。)
ーーードガンッ