君影草は誠を乞う
分かってはいた、つもりだった。
あの出血量ではもう助からないことは。
でも、
こうもどうしようもない現実を突きつけられると
どうしたいいのかわからなくなる。
「おっ井上君か。
入りたまえ。」
中から先程の井上さんの問いの答えが
返ってくる。
その言葉を聞いた井上さんはスッと襖を開く。
「失礼します。
近藤さん、伊織くんを連れて来ました。」
「井上君ありがとう。
起きたばかりで悪いな伊織君…」
戸を開けた部屋には
申し訳なさそうに笑う近藤さんと、
この前以上に眉間にシワを増やした
土方さんが座っていた。
近藤さんは用意された座布団に指先を向け
私にそこに座るように促す。
私が座ったのを確認すると
近藤さんは口を開いた。
「伊織くん
…今回の件については、
本当に申し訳ない。」
突如
深々と頭を下げられ戸惑う。