続・オトナになるまで待たないで

愛する人のために

ゴウが正式にママになった日。

お店では記念イベントが開かれた。

他のお店のオネェさんも集まり、てんやわんやの大騒ぎ。

入店90分待ち。


やるぞ。

ゴウの誕生日は3月で、まだ何にもしてやれなかった。

この日のために給料をつぎ込んで、フルーツ盛りの練習をしてきた。


今回からフルーツが動きにくいように、

水飴を伸ばしたものを糊で使う。


「アンタ・・・スゴイわ」

キッチンのヘルプで入っているエミリオねぇさんが、つぶやいた。

今日がゴウの結婚式だと思って、

自分の愛情のすべてをここにぶつける。


フロアから歓声が上がってる。

ゴウとフルーツとお客さんで、写真を撮っている音が聞こえる。

あの歓声の一つ一つが、ゴウの力になってほしい。

世界でただ一人、私を幸せにしてくれる人。

その人ためなら、何だってする。

それが、私の・・・


急に目の前に、昔の光景が蘇った。

「生きる」

ただ一言そう書いた、あの日のことが。
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