続・オトナになるまで待たないで
画用紙を前に、ウンウン唸っている私の前で、ゴウが言った。

「なんで絵だけが画伯やねん」

「いいの!設計図みたいなもんなんだから」


横から、グラコロねぇさんも顔を出す。

「どれがどれなんか、自分で分かるんか?」

「分かりますよ!これがキウイで、これが柿です!」

「一緒やん!」

「アタシに分かればいいんです!」

あのお祭り騒ぎの後、

私の作ったフルーツ盛りは評判となり、

店のホームページや紹介サイトには

必ず掲載されることになった。



「もっと派手でもえんちゃう?」


それは、他のオネェさんたちからも言われるけど、

本当はオネェさんたちが主役のはずでしょ。

どうして、こうなっちゃったのかなぁ。

おかげで、毎月毎週のようにあるオネェサン達の誕生日のたびに、

限定フルーツ盛りを出さないといけなくなった。

マジで、なんでやねん!

とは思うけど、

11月は雛ねぇさん生誕祭で、

これは集客が期待できるゆえに

気合を入れていかないといけない。


オーナーは容態が悪く、

病院に入ったり、

自宅療養したりを繰り返している。

雛ネェさんは毎日通い、看病しているらしい。


少しでも明るい気持ちになってくれたいいな。

「もっと高いフルーツ入れたらええやん」

「今だと柿とか栗なんですよ。ホントは、フルーツの旬は雨期なんです」

「雨期?」

「1月と2月なんです」

「へぇええ」


値段はもう決まってるから、美味しくったって、高すぎると儲からない。

キウイでいきたいけど、

一年中あるからメインで使いたくない。


ミカンもそろそろ旬になる。

でもそういう、庶民っぽいイメージがないんだよなぁ。


千葉出身だから、魚の目利きは自信があるけど・・・

「山梨県民がこの辺にいたらいいんですケドね」

「おるで」

「どこに?」

「ヨウゼットママや」

キラースマイルという店から、まったくの好意でヘルプに来てもらっているオネェさんだ。

・・・あの人、山梨の人だったの?

「コッテコテの大阪弁使ってはるから、てっきり・・・」

「あの人、『桃はまるごとフォークとナイフで食べれる』言うてはったで」
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