続・オトナになるまで待たないで
キッチンにいると、かえってホールに居るよりも人間関係が分かるような気がする。

ゴウは必死でやっているけど、何となく店に締まりがない感じがする。

グラコロネェさんかヨーママがいると、そんなことないんだけど。


見てて、歯がゆい。

売上が落ちてきたということはない。

でも頭打ち感がある。

私もこれ以上、何か頑張れるかな。



フルーツ盛りは相変わらず評判で、

マネをする店舗まで出始めた。

夜の店の情報誌めくると、

完全にマネしてんなーという画像があっちこっちに載っている。



他店に行ってきたネェさんによると、

「花とかなー、花言うても造花やで?あと花火つこうてな、バアアッと派手にしとんねんかー。派手やねんけど、アンタのフルーツ盛りの迫力には敵わへんねん。ホンマ、安っぽい、嘘っぽいねん。せやけど、こっちももうちょっと派手にいってもエエと思うで」


花火ですか・・・

そんな派手にしなくても

ネェさんたちが充分ハデなんだから、

いいんじゃないの?

あくまで、

主役はネェさんたちなんだけどなぁ。



他のフードに力を入れるべきか?

でもフードは儲からない。


フルーツ盛りもそうだ。

何だったらメシ食っちゃうと、

お酒が入らなくなる。



フードはあくまでも客寄せのためで、

やっぱりお酒を入れてもらわなアカン。

はーあ。


ゴウも自分が「足りてない」状態なのが分かってる。

すごく口数が減ったと思う。

この前、グラコロネェさんに怒られていた。

「口数が少なくても、雛ねぇさんレベルで美しかったら商売になるよ?せやけど、アンタはマダそこまでちゃう!」

悪循環だ。


毎日、悶々としていたこの時期。

とうとうオーナーが、亡くなった。
< 50 / 102 >

この作品をシェア

pagetop