続・オトナになるまで待たないで

喪失

思い出しては泣き、また思い出しては泣き。

こんなに、泣けるもんなのか。

私なんか、そんなに関わってないはずなのに。


こんな子供を守ってくれて、

「お客様にはキレイなもの見せよな」

そう教えてくれた大人だった。


グラコロネェさんは、雛ネェさんが心配でずっと付きっきりだ。

「あのコ、危ないわ。ホンマに。目ぇ離せへん」

というグラコロネェさんに、しのぶネェさんが言う。

「そんなアンタまで思い詰めんほうがエエ」

「思い詰めるやろ!ホンマに・・・ホンマに・・・良くないことしか考えたらへんねん!」

「前から口癖やったもんなぁ。『ワタシ、オーナーがおらんと生きていかれへん』て」



オーナーの葬儀は、たくさんの人が訪れた。

でもそこは、オネェさんたち。

涙でハゲタカたメイクで冗談を言ったり、写真を撮ったり、

悲しいのか、笑っちゃうのか、わからない葬儀だった。

私のお父さんやお母さんの時と大違い。


煙になってゆくオーナーを

ゴウと二人で、ボーッと見つめていた。

ゴウにかける言葉が、ない。

自分の思い出が蘇りすぎて、言葉が出ない。


一緒に居る。


それしかなかった。
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