続・オトナになるまで待たないで
佐々木さん、定期的に病院へ通ってるんだって。

だから、私も本格的に脳外科へ通うことにした。

松井さんに会ったら、病院へ通ってるかって聞かれるんじゃないかと思って。

だけど、なんで検査って高いの!


さっそく、くじけた。

グラコロネェさんは、それでも通った方が良いと言う。


「頭は怖いんやで~。最初、どーもない思うてても後から症状が出てくるよってな」

「そうですかー?」

「しずくのとこが紹介してくれた病院やろ?そら間違いないし、いっとかな」

「うううううう・・・」

「息むんならトイレ行き!」


もう3月。

しずくの生誕祭のフルーツ盛りは、

もう決まったし発注も済んでるけど、


次は、4月。

グラコロネェさんの生誕祭がくる。


本人の個性が強すぎて、

なーーーーーんも思い浮かばない。

いつもはキレイにキレイに作っておいたら、それで良いんだけど、

この人は極彩色の独りパレードみたいなもんだから。


「そや!アンタ、テレビでうちの店のことゲイバー言うたやろ!」

「え?違うんですか?」

「ちゃうわ!ニューハーフ・クラブや!」

「なんか違うんですか?」

「違うに決まっとるやろ!向こうはゲイ!うちらはニューハーフ!」

「・・・違うか」

「アンタ、ずっとゲイバーや思うて働いてたん!?」

「ぜんぶゲイバーだと思って」

「アホッ。あのテレビ見て来はるゲイがおんねん。開けた途端に唖然として帰らはるの気の毒やろ」


それは、なにが違うか分かんないけど、かわいそう。


「あのテレビ見たプロデューサーさんも『ゲイバーちゃうんですね』言うて」

「アッハッハ」

「笑い事ちゃうわ。今度、また取材が来はるから、ちゃんと覚えときや!」


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