続・オトナになるまで待たないで

困ったお客様

息を止めて、最後の飾りつけをする。

フロアに運ばれていく「我が子」に歓声が上がるのを聞いてる暇もない。

「あと二つおねがーい!」

「はーい!」


あ~~〜忙し!

テレビ番組なんか持つ必要ある!?

もう止めてほしい!

あんな5分のローカル番組で、ここまで忙しくなるもんなの!?


今度のオーナーは、やり手だからなー。

使えるものはなんでも使ったるわって感じ。

この間来てた、あの真性のオッチャンがオーナーだったなんて。

私にまでカメラ向けようとするし。

もうホンマ止めて。


「アンタ、一皮むけたいう感じやなぁ」

顔を上げた先に、懐かしい顔があった。

「あっ、しのぶネェさん!」

「久しぶり〜。アンタ、スゴイやんコレ」

「ようやく、ネェさんの言ってた意味が分りました~」


そう、私のセンスは地味過ぎた。

ネェさん達が主役だからなんて言ってたけど、それにしても地味だった。

ネェさんたちには、どんなに華やかにしても敵わない個性がある。

それに気づいた今は、思いっきり派手やかに飾り付けている。

大阪!って感じに。


「今日はダーリンと一緒に来てーん」

「仲良くやってるんですね!?」

「当たり前やん。もうラブラブ!」


ゆっくり話したいけど、忙し過ぎる!

「またなー」

「ハイ、ごゆっくり!」


しのぶネェさんは、グラコロネェさんの生誕祭に来なかったから心配してたんだ。

そういう祭りごとが大好きな人だから。

なんか痩せた?

でも綺麗にはなった?


・・・また注文が入った。

それどころじゃない。


目の前のフルーツに集中集中!
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