続・オトナになるまで待たないで
歓迎会のことはともかく、

サっつんが来てくれたおかげで、

更年期が楽になった。


取材に来る人も押しつけられるし、ちょーどいい。

キッチンに二人いれば、

誰でも年上で男性のほうがフルーツ盛りの作者だと思うらしく、

勝手に勘違いして取材を申し込むのだ。


こういう取材は店の宣伝になるからやるけど、

私には一銭も入らない。

ぜんぶ店の、というよりオーナーの取り分。

私はただ仕事が増えるだけで、時給が変わるわけじゃない。

バカみたいな仕事だ。


「僕が取材受けてるから、僕に引き抜きが来ちゃうんですよ」

サっつんがボヤいた。

「ウケる」

「ウケませんよ」


引き抜きとか、

スカウトとか、

そういう面倒くさい事にも巻き込まれたくないし、

ホント、サっつんがいてくれて丁度いい。


フルーツ盛りのほうは、

毎日のように新作を作っている。


ただ夜の店で商品として出すものなので、

「これは『ネパールの石垣』っす」

を作られても商売にならないことだけ伝えた。
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