続・オトナになるまで待たないで

クリスマスの珍事

手直しは必要なものの、薫ちゃんは三日・・・

まあ、五日はかかったけど、なんとか商品になるものを作れるようになった。


「性格が素直なんや」

せっせと焼き肉をみんなの皿に放りながら、

グラコロネェさんは褒めた。


「リスニングと一緒や。下手に英語かじってはる人より、初めて聴いた人の方が発音はウマなんねん」

「頭もいいなぁ」

「ええ学校いっとたんちゃう?」

「っっ!いえ、ぜんぜんです」


今日は、焼肉屋でささやかな慰労会をしている。

昔に戻ったみたいだなぁ。

ヘルプに来てくれたのは、なんと、しのぶネェさんだった。

転職した先の店は、店自体の売り上げが悪いようで、とりあえず休職しているらしい。


まだ疲れが取れていないような顔をしているけど、

仕事はこなしている。

そのうちフロアに復帰するかもしれない。


もうしばらく忙しさは続くけど、

薫ちゃんも育ってくれたし何とかやっていけそうだ。

あ~~~良かった!


「海もおめでと~さん!」

「ありがとぉ」


レッドタスクのフルーツ盛りが、大阪府の推奨するご当地グルメに選ばれたのだ。

今まで、あちこちで取材されてきたけど、ぜんぶ夜遊び関係の媒体だけだった。

それがいきなり、大阪府。

しかも顔写真付き。

「ホンマ、すごいことやで!」

「うん、嬉しい・・・公務員の夢に一歩近づけたかしら・・・」

「ジブン、公務員になるつもりなん!?」

「公務員の嫁でもイイ・・・」

「アホッ。働けっ」


本当に昔に戻ったみたい。

楽しすぎる。

薫ちゃんもニコニコしてる。


この子も幸せになってほしい。

私みたいに、追い詰められないで欲しい。

せっかく生き残ったのに、

銃剣を探さないでほしい。


そう切に願っ・・・

「アタシの上カルビないっ!!」

「遅いねん」
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