続・オトナになるまで待たないで
血栓が、小さくなって良かった・・・

もう手術とか、マジで怖いから!

ゴウを尊敬するわ。


1週間後には取りあえず退院となって、

また仕事に復帰しようかなと思う頃、

トンちゃんから久しぶりに連絡があった。


「松井くんと会ったんだって?」

「うん、会った」

「こっちに帰って来るように言われなかったの?」

「それはもう凄い『圧』だよ」

「だろうね。ああいう人は、地球の果てまで追ってくるよ」


警官だしな。

あり得るな。


「いや、今ね連絡があったんだけど、ハラさん覚えてる?」

「ハラさん?」


ハラさんて、だれ???


「記憶ないかなぁ。ハラさんは、海ちゃんが非常にお世話になった人なんだけど」

「えー・・・ハラさん・・・?」

「そこは記憶がないかぁ。海ちゃんはハラさん相手に遺書まで書いたんだよ」

「ええええ!?」


そ、んんな、ぜんぜん思い出せない人に?

私が遺書を??


「ゴメン。どうしよう。本当に思い出せない」

「ハラさんは海ちゃんの汚名を注いだし、あの火事に遭ったビルの構造も教えた。そういう人」


困った。

それを聞いても全く思い出せない。


「どうしよう?お礼しないとなの?」

「そんなんじゃなくてね、そのハラさんが入院したんだって。それで、海ちゃんの顔が見たいって言ってるらしいんだ」

「ああ、もちろん、そんなお世話になった人なら行くけど・・・どうしよう。全然覚えてないのに・・・」

「記憶が戻ってないことは伝えておくから、出来たら会いに行ってあげてよ。とにかくシツコイんだって。後見人さんが弱りきってたよ」

そんなに会いたがってるって、よっぽどだな。

何にもできないけど・・・

そう思いながら、電話を切った。
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