嘘はもう、
いや、言えるわけがない。
だからそういうことにしておこう。
静かに自分の中で呟いた。
「…あのさ、この後一緒に回んない?」
…え?
あまりの驚きに目を見開いた。
「えっ…午後からってこと?」
「ふっ、なんでそんなビックリしてんの?…そう午後から」
ど、どうしよう。
私は吉田くんから目線を逸らした。
誘ってくれるなんて思ってなかった…
「…おーい、俺こっち」
頬に温かい手が触れ、グイッと顔を動かされる。
や、やばい!絶対私、今顔真っ赤!!!
心臓がバクバクと音を立てる中、必死に平気な顔をした。
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