嘘はもう、
そう言うのと同時に隼斗がぱっと顔を上げて私を見る。
「──っ!!」
隼斗の顔がすごく近い。
な、なにこれ。近すぎて顔を動かしたらキスしてしまいそうな距離。
目が合いお互いそらさない。
私はこの距離に耐えられなくなり慌てて体を後ろに下げようとした。
するとグッと腕を引かれた。
「わっ」
ポスンっと隼斗の胸に倒れ込んだ。
柔軟剤のいい匂いがした。
「…」
「…」
お互い何も言わずにただドキドキとした時間が過ぎていく。
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