嘘はもう、
なんて心の中で落ち着かせるために言ってはいるがドキドキが止まらない。
声が出せないでいる私を見て吉田くんは、
「はっ、大丈夫?」
軽く笑って首を傾げる姿にさえ見とれてしまう。
「あっ、だ、大丈夫です!」
1歩間違えれば簡単に裏返ってしまいそうな声で答えた。
「そう?じゃあそろそろ買い出し行くか!」
時計を見ると時刻は午後2時半。
「そうだねっ…あ、カバン取ってきます」
「俺もカバン取ってくるね。じゃ廊下集合で」
手を上げて去っていく後ろ姿を見てさらにドキドキした。
後ろ姿もかっこいいんだ…と見とれている私に急に重みがかかった。
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