breath
崩れ落ちるように、しゃがみこみどれくらい時間が過ぎたんだろうか?

あれから、何回か呼び出し音がなったけど、プツリと無くなっていた

ボー然としている私



カチャカチャと鍵を開ける音がして樹さんが帰宅した

リビングに座り込んでいる私の姿を見た樹さんは慌てているように見える

「明日美、どうした?」

心配そうに私の肩を抱き、顔を覗き込む樹さん

藤崎さんのことを黙っておくという選択肢もあったけど、たぶん、何か処置をしなければ、これからもずっと藤崎さんは来るだろう。


だから……私はあえて、藤崎さんが来たことを伝えた。

『フッー』と樹さんは溜息をついた後

「今日、藤崎に明日美の事を聞かれたよ」

やっぱり、私のことを知っていたんだーーーということは、私を訪ねてきた可能性大だ

「なんて答えたんですか?」
「明日美は婚約者で、結婚するって言った」
「藤崎さんは……どんな反応をしたんですか?」

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