breath
美味しそうな前菜が運ばれてきたのに、さっきの話が胸につっかえていて箸が進まない

「どうしたの?」

専務が心配そうに私を見る

「いえ……大丈夫です……」
「ショックだった?でも未来の役員になる樹と結婚するんだったら、これぐらいの事で動揺するのなら最初から止めておいたほうがいい。」

また私の心を見過ごすような鋭いことを言って……でも、これが……現実だ

「ーーーそうですね……」
「僕は君をいじめようとして言っているんじゃないから、それだけは理解してほしい」

コクンと頷く私。ショックすぎて言葉が出てこない

「君は樹と結婚する気があるのなら、強くならなければいけない。僕の妻もそれができなくて、去っていったのだから」
「えっ……」

両手で口を押さえていたけど、声がでるくらい驚いてしまった

「僕の言っている意味、わかってくれた?」

専務はあまり言いたくないプライベートの話までしてくれて、私を奮い立たそうとしてくれているのはよくわかった
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