breath
「専務、お気遣いいただいてありがとうございます」

専務とは、ほとんど仕事では接触することはなかったけど、今日1日で気遣いができて優しい人だと感じた。

これから私がどうしたら良いのかアドバイスを仰いも良い?

樹さんの親戚だし、きっと良い方向に進むはず。

私は、そう思い込み今までの事をすべて話し、相談してみた


私の話が終わると、包み込む優しい笑顔をしてくれる専務。話を聞いてもらえるだけでも、心が軽くなる

心につっかえていたシコリが取れたようで、ホッとしたのか、箸が最初とは違うぐらい進んだ

「おいしいですね」

久しぶりに出たと思う笑顔。笑っていると、幸せな気分になれるんだ……と思えた

そういえば笑うのなんて、いつぶりだろう?

ーーーたぶん、あのひったくり事件の前だったのは確かだ。

あの日以来、私の生活は変った。そして人生も変わろうとしている

そんな事を考えている私を見守っている専務。
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