breath
専務の車の助手席から降りる私の姿を見て、樹さんが駆け寄って来た

「明日美!」

大きな怒鳴るような声

たぶん……帰りが遅くなった私を心配していたのだろう

「ごめんなさい……。ずっと携帯を切っていて、連絡するのを忘れていました……」

樹さんが私の肩を抱き

「無事で良かった……」

と小さな声で呟くように言う

反対側の運転席のドアの閉まる音がする。車から出てきた専務の姿が目に入った

「専務……」

驚いた顔の樹さん。私と専務の仕事の接点がないから、想定外の専務の姿に戸惑っている様子

「樹、望月さんに私の仕事を手伝ってもらっているんだ」
「そうなんだ」
「これからも、色々と手伝ってもらう。今日は懇親も兼ねて食事に誘った。」

淡々と二人の間で会話が続くけど、業務連絡にしか聞こえない。

この二人、本当に従兄弟なんだろうか?

「仕事なら、仕方がないな」

樹さんはそう言うけど、目が怒ってる
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