breath
「専務の強い希望?」
「望月さんご指名なんだ。」

そういえば、昨日、私限定みたいな話をされていた。樹さんの件があるから?

でも、樹さんとの事を知らなかったよね……

「それで、高宮主任との結婚なんだが……決まったか?」
「話は出ているんですけど、まだ仕事が忙しくて詰めれてなくて……」

課長もそこがひっかかるんだ。

【婚約者】がいるという事は、近い将来結婚するということで……社宅の件が特例で認められているから、期間は少しは長くなるかもしれないけど、しないといけないのは決定的。

移動したら迷惑かける可能性が高いのに……

「そうか。専務は君の婚約は知っているようで、それでも構わないと言っているようだ」

「そうですか」

昨日、専務に話したから……でも昨日の今日で動きが早すぎませんか?意外と専務はせっかちだったりして……

「私としては、望月さんにもう少し受付業を極めて欲しいと思っていたから、残念に思っている」

その言葉を聞いて、目頭が熱くなり涙が出てきた。
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