breath
樹の言い分はわかった。これからどうする?」
「ーーーーーーー」

どうしていいかわからない。ただ一つわかることは、敵だと認めたら匠さんは容赦がないということだけ

仕事上の事とはいえ、平社員の明日美とプライベートで食事に行ったり、自分の仕事を手伝わすという事は、匠さんが心を許しているということが容易く推測できる

もし、明日美の原因が藤崎ならば匠さんは容赦ない対処をするだろう

「樹、望月さんの今の状態を見ておかしいと思わないか?」

答えを出さない俺に、話を切り出す匠さんは……たぶん手段を決めているはずだ。俺の出方を見ているだけで、今は本音を出さない

「思う。たぶん、何かショックな事が起きたんだと思う」

「樹、それがわかっているなら望月さんを手放さないか?」

えっ……匠さん。今、何を言った?

やっと明日美を手に入れたのに……。

それを手放すなんて俺にはできない

「それは絶対できない」

ストレートに俺の本心を告げた




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