breath

匠さんもそんな経験あるんだ。フフフ……」

精一杯の愛想笑顔でいう

「樹……俺の提案だが、望月さんを一度実家に帰さないか？」

なんとなく、そう言われるのはわかっていた。俺のマンションにいても藤崎が来て、同じ事を繰り返す可能性がある

俺はあえて首を横に振る

「それならば、藤崎の話を聞いて、キチンと別れてケジメをつけろ」

「匠さんの話じゃ優良物件だから、別れてくれないんだろう？」

「たぶんな。坂口にいろんなことを吹き込まれている。でも望月さんのためになんとかしろ。そうしないと、彼女は壊れるよ」

今の明日美の状態を見ると、この数週間でひったくりと藤崎の件でダメージを受けているのは確かで、いつ壊れてもおかしくないのは頷ける

「わかった」

「話が片付くまで、彼女を実家に帰せ。仕事は当分受付はさせないで、俺の元で面倒を見る。藤崎とは接触させない。」

匠さんのもとなら一般社員との接触を確実に避けることができる。彼女を藤崎から守ることができる