breath
朝食を食べ終わった後

「明日美……話があるんだ……」

と話を切り出した

「樹さん……仕事は?」
「今日は朝から急ぎの仕事がないから遅れていく」

俺は深呼吸をし

「明日美、昨日は藤崎に何かされたのか?」

と聞くと、明日美は何かを思い出したのか泣き腫らした瞳からウルウルと涙が浮かんできた

「ーーー何も……されて……いません。うっ……ただ……呼び止められた……だけです……」

そう言い切ると、昨日同様、泣き崩れてしまった

彼女の中では藤崎のこの何気ない行動でも、ショックな行為なのだろう

このまま、ここにいたら明日美は壊れてしまう

彼女をここまで追い詰めたのは、全て俺のせい

俺は、明日美を抱きしめ彼女が泣き止むのを待つ

5分ぐらい経った頃、少し落ち着いた感じになった

俺の胸に顔を埋めた明日美を離し、話を切り出す

「明日美……俺は君に嘘をついていた」

「ーーー嘘……?」

明日美の瞳が揺れているのが見えた
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