breath
ボッーと甘いカフェラテを飲みながら、スマホをいじる

大好きな樹さんからの連絡はなかった

「忙しいものね……」

ぼそっと呟く

さすがに昨日の今日だから、連絡がなくても当たり前だ

でも……昨日まで一緒にいた空間、流れる空気、そこにいる樹さんの姿、彼から伝わる体温……そんな事を考えていたら、寂しくなる

ーーーー私は樹さんが好きなんだ

改めて思う

会いたいって思うけど、今の私には彼の動向を知る由もない

秘書課見習いの私は、他部署の人と頻繁の接触するのは、できたら避けたほうが良いのか?

守秘義務があるし、今の私の移動は公にされていない

人に流されてしまう私は、孤独になることで、この秘密を守ろうと思っていた

温かかったカフェラテが冷めかけた時、窓の外を眺めている私の呼吸が止まる

私の目に、大好きなあの人の姿が目に入った

営業の帰りなのだろうか

私は瞬きを忘れるぐらい、彼の姿を追った
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